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科学知識:鋳造シミュレーションの実際の運用について

2024-03-08

科学知識:鋳造シミュレーション(Casting simulation)の実際の運用について

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前回の内容では、鋳造と成形シミュレーションについて、軽く説明いたしました。既にご覧になられた方は、鋳造と成形シミュレーションについて、簡単な理解ができたと思います。もし、まだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、下のリンク先から確認できます。

これから、内容について鋳造シミュレーションを行い、実際の応用例をご紹介いたします。

成形シミュレーションの導入のタイミングとポイント

まず、少し復習をしましょう。鋳造シミュレーション(Casting simulation)は、コンピュータ工学支援システム(CAE、Computer Aided Engineering)の技術を用いて、金型や製品の開発の前後に金型方案(または鋳造方案)をシミュレーションし検証できます。では、実際に開発現場でどのように使われ、どのような注意点があるのでしょうか。

  • 金型、製品の開発前

    金型や製品の開発前において、成形シミュレーションは主に製品開発(PD、Product Development)に活用されます。開発予定の設計案に対して生産シミュレーション、欠陥検出、条件検証などを行い、開発者が金型や製品の設計を修正するのをサポートし、関連する製造条件(材料、温度、圧力、速度など)を最適化します。
    下記の動画では、日本ヤマハ発動機が金型シミュレーションソフトの特性を利用して、実際の金型製作の前に、設計案の流動分析(Flow analysis)、金型熱分析(Mold thermal analysis)などを行い、生産される製品のリードタイム(Lead time)を短縮し、コスト(Manufacturing cost)を削減し、製品の構造を最適化させます。

    (*ヤマハ発動機グループ採用チャンネルから引用)

  • 金型、製品の開発後

    製品および金型の開発後において、成形シミュレーションは品質改善(QI、Quality Improvement)に活用されます。製品に発生する問題や欠陥の原因を分析し、改善策の有効性を検証します。また、実際の設計改善プロセスでは、CAE技術を用いた成形シミュレーションは下の図のように情報収集と設計改善の間に使われています。もし、成形シミュレーションを活用すれば、エンジニア達は製品に欠陥が見つかった際に、欠陥の原因をより効率的に特定でき、分析結果に基づいた改善策を実施できます。

  • 成形シミュレーションの運用ポイント

    開発プロセスに成形シミュレーションを導入する際、すぐに大幅な改善が見込まれるわけではありません。むしろ、効果を得るため、試行錯誤と検証に時間がかかり、その末にようやく効果が表れます。前のセクションでも説明したように、成型シミュレーションによる分析結果は、完璧な条件で得られた実験データです。成形シミュレーションを利用する際、設定した製造条件と実際が異なる場合は、得られた分析結果にズレが発生しやすく、金型方案の改善案に応用することができません。
    そのため、成形シミュレーションを活用する際に最も重要なのは、製造条件を繰り返して試行錯誤(Trial and Error)し、実際の製造状況を反復検証(Repeat verification)することです。分析結果が実際の状況と一致するようになったら、ようやく金型方案と製品品質の改善の目途が立ちます。この検証プロセスは、開発プロセスと同じく、時間と根気が必要になります。

鋳造シミュレーションの実際の運用

ここまで鋳造シミュレーションの導入のタイミングとポイントを大まかに紹介しましたが、実際には鋳造シミュレーションはどのように運用されているでしょうか。
現在、多くのメーカーが鋳造シミュレーションを開発・販売していますが、運用の概念としてはほとんど大差ありません。なぜなら、鋳造シミュレーションを使う目的は、金型の中の見えない溶湯の流動・凝固状態を確認するためです。各メーカーの差異を強いて挙げるとしたら、解析手法、解析精度、解析速度です。
ここからは、実際に鋳造シミュレーションソフトを運用しながら紹介していきます。

  • 鋳造シミュレーションソフトと対象物

    今回の鋳造シミュレーションでは、スウェーデンNovacastが開発した「Novacast NovaOne HPD 鋳造シミュレーションソフト」を使い、金属カバーの金型方案に対して鋳造シミュレーションを行います。今回の最大目的は「金型を製作する前」に金型方案の設計が適切かどうか、欠陥が発生するかどうかを確認することです。

  • 鋳造シミュレーションの過程

    まず、シミュレーションするモデルをSTLファイル(STL, Standard Triangulated Language)、またはSTEPファイル(STEP, Standard for the Exchange of Product Data)で鋳造シミュレーションにインポートし、モデルを分かりやすく調整したらエクスポートをします。

    先ほど調整したファイルを開いてメッシュを分割したら、シミュレーションする製造条件(金型と鋳造品の材料種類、温度、圧力、射出速度、オーバーフローなど)を設定してエクスポートします。
    補足になりますが、もし設定されたシミュレーション条件が実際の製造環境と異なる場合は、その分析結果がずれるので、パラメータ調整の根拠として利用することができません。そのため、製造条件を設定する際は、必ず実際の製造環境の製造条件を確認した上で設定してください。これが解析結果を実際の状況に近づけるための重要ポイントです。
    【* 32倍速。実際の処理時間は約3分】
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    次はソルバーを開いて先ほどのファイルをインポートし、必要な出力分析結果を選択したら、シミュレーションをさせます。シミュレーションが終わると、その金型方案と製造条件が適切かどうか、欠陥が発生するかどうかを確認できます。
    また、実際の処理時間は設定されたシミュレーション条件(総メッシュ数、分析条件など)およびハードウェアのスペック(ご利用のPCのスペック)によって変わります。
    【* 64倍速。実際の処理時間は約15分半】

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  • 鋳造シミュレーションの結果

    分析結果については、開発メーカーによってソフト上の呼び方が異なりますが、基本的には流動(Flow)、凝固(Solid)、温度(Temperature)、速度(Velocity)、空気の巻き込み(Air enterment)、収縮(Shrinkage)などの分析結果を提供し、利用者が金型や製品の欠陥問題を確認・解析することができます。そのほか、購入したモジュールの内容によって、ガス計算(Gas calculation)、金型浸食(Mold Erosion)、熱応力(Thermal stress)などのアドバンス機能を利用でき、金型方案に対してさらなる分析ができます。

    • 流動解析(Flow)
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    • 凝固解析(Solid)
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    • 温度解析(Temperature)
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    • 速度解析(Velocity)
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    • 空気の巻き込み(Air enterment)
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    • 収縮(Shrinkage)
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  • 製造条件、金型方案の改善

    シミュレーションが完了し、解析結果を確認した後、製造条件や金型方案に対して検討を行います。具体的に3つの段階に分けられます。

    • 分析結果の検討
      この段階では、設計者は模流分析の結果に基づいて製造条件や金型方案を改善し、その結果を再度検討する必要があります。この検討の目的は、改善策が効果的かどうか、欠陥の問題を改善できるかどうかを確認するためです。もし、改善策が効果的でない場合、製造条件や金型方案を再検討する必要があります。
    • 試作品の評価
      この段階では、分析結果の検討を経て、金型方案や製造条件に問題がなく、分析結果が現実に近いと仮定できます。次は金型を製作して試作品を生産し、試作品に欠陥が発生していないかを確認します。もし、欠陥が発生した場合、関連情報を収集し、鋳造シミュレーションソフトにフィードバックして再分析させ、その結果をもとに金型や製品の改善策を実施します。
    • 製品の量産
      分析結果の検討や試作品の評価での問題が解消されたら、製品を量産する段階に進めます。もし、製品の量産中に欠陥が発生した場合、上記の改善策を再度実施します。金型を製作する前のプロセスと、製品に欠陥が見つかった際に鋳造シミュレーションを使用して製品を改善するプロセスは似ています。

ここまで、私たちの目的である「金型を製作する前」に金型方案についてシミュレーションを行いました。他にも、金型を製造する前に、欠陥問題に対して設計検討や改善策を検討できます。鋳造シミュレーションが開発現場で応用できると、金型開発者や製品設計者をサポートし、金型の欠陥解析、金型方案の最適化、製品の品質向上などの業務に役に立つことでしょう。

以上の説明で、鋳造シミュレーションソフトの応用が分かるようになってきたのではないかと思います。次章では、よくある鋳造欠陥および成因について説明させていただきます。

それでは、また次回会いましょう。

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