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科学知識:CTコンピュータ断層撮影に関する放射線法令と導入検討ポイント

2023-11-10

科学知識:CTコンピュータ断層撮影(Computed Tomography)に関する放射線法令と導入検討ポイント

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前回の内容では、CTコンピュータ断層撮影の実際の運用などを紹介しました。既にご覧になられた方は、CTコンピュータ断層撮影について、より深く理解ができたと思います。もし、まだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、下のリンク先から確認できます。

これから、CTコンピュータ断層撮影に関する放射線の法令と、設備導入する際に検討すべきポイントをご紹介いたします。

放射線に関連する法令

放射線(Radiation)で人体や物質などを透過して観察できる方法を発見したのち、人類はその技術を各領域に積極的に応用してきました。その過程で、人体に害を及ぼすリスクがあると気づきましたが、その技術にはまだ未知で無限な応用価値があります。そのため、世界各国や国際組織が協力し合い、人類社会に継続的な利益を提供できるように放射線に関する法令を設けました。放射線に関する法令は、国によって細部は異なりますが、概ねに「人体への影響に関する規範」と「設備に関する規範」に分けられます。

(下記に紹介した内容は、国や地方自治体によって実際の法令や規範などが異なるため、参考程度に留めてください。もし、台湾地域における放射線に関連する法令の詳細を知りたい場合は、台湾原能会(台湾原子能安全委員会)、台湾放射線防護協会(財団法人中華民国放射線防護協会)、または地方自治体に認可された放射線防護訓練機構・団体までお問い合わせください

  • 放射線の単位

    放射線の単位としてよく知られているのは、「ベクレル(Bq)」と「シーベルト(Sv)」です。前者は主に放射性物質(*)から放出された放射線の単位で、後者は人体が受ける被ばく線量の単位です。
    (* 例えばラジウム(Ra)、ウラン(92)などの元素、もしくは放射性同位体、中性子を吸収又は核反応を起こして生成された放射性物質、土壌、食品など…)

  • 人体への影響に関する規範


    過度な放射線被ばくにより、人体の細胞や臓器への不可逆的で永続的な損傷が生じる可能性があります。そのため、各国政府および国際機関(例: 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、国際原子力機関(IAEA)など)は、放射線を生成できる機器や放射性物質に関して規制とガイドラインを策定し、これらの技術を合理的かつ安全な環境で操作するための対策を講じています。

    • 国際社会における放射線への規範
      国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection, ICRP)は、1950年に国際X線およびラジウム防護委員会(International X-ray and Radium Protection Committee)から改組され、放射線防護の基本的な枠組みと防護基準を世界各国に勧告しています。特に、ICRPが1977年、1990年、および2007年に勧告した内容は、現在世界各国の放射線防護法や関連法令に深く影響しています。
      例えば、ICRPによる2007年の勧告では、放射線被ばく線量に関し、放射線業務従事者への実効被ばく線量は5年間で 100 mSvかつ年間 50 mSvです。一般の人への実効被ばく線量は、年間 1 mSvです。

      【シーベルト(Sv)の単位換算】
      1 Sv(シーベルト)= 1,000 mSv(ミリシーベルト)
      1 mSv(ミリシーベルト)= 1,000 μSv(マイクロシーベルト)
      1 μSv(マイクロシーベルト)= 1,000 nSv(ナノシーベルト)

      国際社会における放射線への取組みをもっと知りたい場合は、以下のリンク先から確認できます。

    • 国内における放射線への規範
      国内(台湾)では、政府も前述した国際的な規範を参照し、放射線に関する法規を制定しています。例えば、放射線防護法では、放射線業務従事者の職業被ばくについて、5年間の実効被ばく線量は 100 mSvを超えてはならず、かつ年間の実効被ばく線量は 50 mSvを超えてはならないと規定されています(第7条)。また、一般人に対する年間被ばく線量は 1 mSvで、これもICRPが2007年に提案した内容と同じです。

      もし、放射線に関連する法令をもっと知りたい場合は、以下のリンク先から確認できます。

    • 参考情報
      日常生活環境では、人々は多かれ少なかれ放射線の被ばくを受けています。実は、放射線は宇宙放射線、鉱物、食品などさまざまなものから来たものです。詳細の内容は、下のイラストをご参照ください。

      一般游離輻射, 一般游离辐射, General Ionizing Radiation, 一般的な放射線,
      *引用自行政院原子能委員會-一般游離輻射劑量比較圖
      醫療游離輻射, 医疗游离辐射, Medical Ionizing Radiation, 医療用放射線,
      *引用自行政院原子能委員會-醫療游離輻射劑量比較圖


      台湾地域における放射線に関連する教育訓練について知りたい場合は、台湾原能会(台湾原子能安全委員会)台湾放射線防護協会(財団法人中華民国放射線防護協会)、または地方自治体に認可された放射線防護訓練機構・団体までに問い合わせてください。

  • 設備に関する規範

    国内(台湾)の法律の定義では、放射性を持つ物質や放射線を生成できる機器などは、放射線に関連する法令に従う必要があります。通常、放射線の強度に基づき、「高強度放射線施設」、許可類」、「登録類」、「管制免除」に分けられます。

    • 高強度放射線施設類
      通常、高強度の放射線を生成できる設備か、高強度の放射能を持つ物質を使用している施設を指します。

      • 放射線発生装置に、30 MV(メガボルト)以上の加速電圧を使用する施設
      • 放射線発生装置に、 30 MeV(メガエレクトロンボルト)以上の粒子線エネルギーを使用する施設
      • 密封された放射性物質が 1,000 TBq(テラベクレル)を使用する施設
    • 許可類
      非管制免除の放射線源で、登録および報告の要件を満たさない場合、または医療目的ではなく、人体に直接的に放射線を照射可能な放射線生成装置について、政府・自治体に使用・所持許可を申請する必要があります。
    • 登録類
      • 【放射性物質】
        • 管制法の添付シート1に指定された第4類及び第5類密封すべき放射性物質
        • 機器または製品の放射性物質で、その放射能は管制免除線量の1,000倍以下で、通常の使用状態において、その表面から5 cmを離れたところで、線量率は毎時 5 μSv以下のもの
        • 上記以外の放射性物質で、管制免除線量の100倍以下のもの
        • 他に政府・自治体に指定されたもの
      • 【放射線生成装置】
        • 電圧(kVp)が 150 kV(キロボルト)以下、もしくは粒子線エネルギーが 150 kV(キロエレクトロンボルト)以下のもの
        • ボックスまたは荷物検査用X線機、イオン注入機、電子ビーム溶接機、または静電気除去装置において、通常の使用状態で、その表面から5 cmを離れたところで線量率が毎時 5 μSv以下のもの
        • 他に政府・地方自治体に指定されたもの
    • 管制免除類
      生成される放射線に安全上の懸念がない場合、放射線防護法から規制が免除されます。ただし、下に述べた条件に合致する必要があります。

      • 【放射性物質】
        • 生成された放射能は管制免除線量を超えない(物質によって基準値も異なる)
        • 軍事用途の照準器、グリップ、照準ポストに含まれるトリチウム(Tまたは3H)の線量が4 x 10^11 Bqを超えないもの
        • 時計、煙感知器、マイクロ波受信器の保護ケース、航海用コンパスおよびその他の航海用機器、非常用表示灯、方位磁針、電球などの商品に使用される放射性物質は、「商品用放射線線量基準」の規定に満たすもの
      • 【放射線生成装置】
        通常の使用状態で、その表面から10 cmを離れたところで、線量率は毎時 1 μSv以下のもの

        • 電圧(kVp)が 30 kVp(キロボルトピーク)以下の放射線生成装置
        • 電子顕微鏡
        • ブラウン管
        • 他に政府・地方自治体に指定されたもの
    • 参考情報
  • 操作員に必要な資格

    国内(台湾)の関連法令において、放射線発生装置を操作するためには、使用する放射線源の種類に応じ、政府に認可された訓練機構・団体にトレーニングを受けるか、特定資格を取得する必要があります。

    • 高強度放射線施設類
      操作員は下記の免許・資格を1つ有し、生産設備運転訓練および運転操作実務訓練を合格したのち、放射線設備運転者資格を所持していること。

      • 放射線安全証
      • 放射線防護者認可証
      • 放射線科、核医学専門医免許
      • 放射線技師免許
    • 許可類
      操作員は下記の資格を有し、指定の試験を合格した後に放射線安全証を所持していること。

      • 政府に認可された訓練機構・団体で、36時間の操作者トレーニングを受講
      • 放射線防護に関連する課程の4単位以上を取得
    • 登録類
      操作員は下記のいずれかを満たす必要があります。

      • 政府に認可された訓練機構・団体で18時間操作者トレーニングを受け、修了証を取得
      • 放射線防護に関連する課程を2単位以上取得(放射線防護に関連する課程は放射線防護操作員の管理方法の添付シートをご参照ください)
      • 放射線安全証、放射線防護者認可書または放射線設備運転者のいずれかの免許を所持
      • 放射線科、核医学専門医免許を所持
      • 放射線技師免許を所持
    • 管制免除類
      操作員はにいずれの免許も不要
    • 参考情報

設備導入する際に検討すべきポイント

台湾における放射線に関連する法令を紹介してきましたが、実際、CTコンピュータ断層撮影の設備・マシンは果たして役に立つか、導入したらどのように運用した方がいいかと悩んでいる方も割といらっしゃいます。そのような方のために、導入・運用する前に検討すべきポイントを解説します。

  • 設備運用の目的を明確に

    購入を検討する前に、現行の業務と照らし合わせ、「何のため」に「どのような状況で運用したい」という点を明確する必要があります。
    通常、CTコンピュータ断層撮影はこのような場合に運用されています。

    • 目視検査などで、観察物の内部構造を確認できない
    • 観察物に破壊検査ができない
    • 組み立てた観察物の内部状況・部品寸法を確認したい
    • 観察物の内部欠陥を確認したい
    • 観察物のリバースエンジニアリング
      …など

      *引用自かわいいフリー素材集いらすとや
  • 撮影物の寸法確認

    CTコンピュータ断層撮影の設備はメーカーにより、撮影可能な範囲が異なるので、撮影物の寸法を予めに確認してメーカーや代理店と相談した方がいいです。

    • 大型CT設備
      オフィスデスク程度、もしくはそれ以上の大型部品の撮影に使用。大型の機械・生産設備ぐらいの空間が必要で、生成できる放射線線量が高いので、放射線防護の対策(遮蔽物)を取らなければ設置できません。放射線の強さは「高強度放射線施設類」に分類されます。
    • 中型CT設備
      デスクトップパソコンぐらいの中型部品の撮影に使用。中型・小型の機械・生産設備ぐらいの空間が必要で、生成できる放射線線量は大型より劣るが小型より高く、放射線防護の対策(遮蔽物)を取らなければ設置できません。放射線の強さは用途によって変わりますが、概ねに「高強度放射線施設類」か「許可類」に分類されます。
    • 小型CT設備
      500ml程度のボトルかそれ以下の小型部品の撮影に使用。生成できる放射線線量が低いので、オフィスデスクぐらいの空間で設置可能です(通常、小型装置には放射線防護対策が施されている)。放射線の強さは用途によって変わりますが、多くは「許可類」、「登録類」に分類されます。

      *引用自かわいいフリー素材集いらすとや
  • 撮影物の材質確認

    CTコンピュータ断層撮影は原理的にX線で撮影物を透過するため、撮影物の材質の性質によって透過状況・画像再構成に影響が出ます。
    基本的に元素周期表の原子番号で大まかな判断ができ、原子番号が大きい材質は透過が難しくなるため、より強い放射線を使用しなければいけません。ただし、メーカーによって使用する技術が異なり、実際のX線の透過率や再構成精度も異なります。


  • 放射線防護の対策

    実際のところ、CTコンピュータ断層撮影設備が発生する放射線強度は様々であり、放射線防護の対策も様々であるため一概には言えませんが、放射線防護の基本的な概念を紹介します。

    もし、台湾地域における放射線防護の対策を詳しく知りたい場合は、台湾原能会(台湾原子能安全委員会)台湾放射線防護協会(財団法人中華民国放射線防護協会)、または政府・地方自治体に認可された放射線防護訓練機構・団体までお問い合わせください。

    • 設備における放射線防護の対策
      よく見られる放射線防護の対策は、鉛(Pb, 82)の板やコンクリートなどの遮蔽物で放射線生成装置を囲み、放射線の被ばく線量を遮断もしくは低減します。
      放射線(Ionizing radiation)は「粒子放射線(Particle radiation)」と「電磁放射線(electromagnetic radiation)」と2種類に分けられ、前者はアルファー線(Alpha particle)ベータ線(Beta particle)中性子線(Neutron radiation)…などがあり、後者はガンマ線(Gamma ray)X線(X-ray)…などがあります。もし、それぞれの放射線に対策したい場合は、その性質に合わせて厳密に相応する対策を取る必要があります。具体的に下のイラストのような対策が取れます。
      例えば、アルファー線は1枚の紙で遮断でき、ベータ線を遮断したい場合やアルミなどの薄い金属板やプラスチック板が必要です。しかし、ガンマ線とX線はアルファー線とベータ線より透過力が強いので、鉄(Fe, 26)や鉛(Pb, 82)の厚い板を使わなければ放射線を遮断も低減ができません。

      *引用自日本環境省放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成29年度版)-放射線の透過力
    • 人体における放射線防護の対策
      放射線による人体への危害を防止し、人類社会に継続的な利益をもたらすため、ICRPは2007年、放射線防護には「正当化(Justification)」、「最適化(Optimization)」、「線量限度の適用(Limitation)」と3大原則を満たすべきであると勧告しました。
      正当化とは、
      放射線に関連する技術を使う行為は、もたらされる利益がリスクを上回る場合のみ認められます。最適化とは、放射線を伴う行為のメリットがリスクを上回る場合は、合理的に達成可能な限りに被ばく量を減らします。この原則はALARA原則(ALARA, As Low As Reasonably Achievable)とも呼ばれています。最後の線量限度の適用とは、放射線設備操作員、一般市民を問わず、あらゆる放射線源からの被ばくは線量限度を設け、超えないように管理する必要があります。ただ、医療放射線被ばくはこの制限の対象ではありませんが、正当化原則と最適化原則は考慮しなければなりません。
      また、人体における放射線防護の対策は「外部被ばくの防止」と「内部被ばく防止」に分けられます。

      • 外部被ばくの防止
        外部からの被ばくを防止・低減するため、「距離」、「遮へい」、「時間」の3つ原則を基づいて対策を取ります。
        距離とは、放射線源から距離を取ることで、距離が遠いければ遠いほど被ばく線量も低くなります。遮へいとは、放射線源との間に重いものを置けて遮へいすることで、その厚みが厚いほど被ばく線量が少なくなります。時間とは、放射線源と接触時間を短いすることで、接触時間が短いほど、被ばく線量が低くなります。

        *引用自US EPA(United States Environmental Protection Agency)-保護自己不受輻射傷害 [Protect Yourself from Radiation]
      • 内部被ばく防止
        放射性物質を人体に吸入か摂取することによる被ばくを防止・低減するため、「遮断」、「代謝」、「除染」の3原則に基づいて対策を取ります。
        遮断とは、汚染地域に滞在する時間を減らし、飲食を避けるようにすることで、放射性物質を吸入か摂取する可能性を低減します。代謝とは、人体の代謝機能を向上して摂取した放射性物質を排出することで、多めに水分摂取したり、運動したりします。除染とは、カバンや服や靴などに残留する放射性物質を除去することで、汚染地域から離れた際に徹底的に残留する放射性物質を除去します。

    • 参考情報

 

以上の説明で、放射線に関連する法令と設備導入する際に検討すべきポイントについて、より深く理解できたのではないかと思います。CTコンピュータ断層撮影についての説明は、ここでひと段落にします。今後、もし機会がありましたら、CTコンピュータ断層撮影の他の応用や注意事項を紹介します。

それでは、また会いましょう。

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